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Sequence -画面を超えて-

 近代期に起こった窓ガラスの普及により「画面」という視点が現れる。今や私たちはTVやスマートフォンなどの画面を通して電子情報の世界を覗き見ながら生活している。画面の出現によって世界の見方はフィルム映画のように写真(場面:シーン)の連続(シーケンス)として理解されていくようになった。そして、私たちは日頃から場面と場面の狭間、シーケンスの中に演者の表情や声色、ふとした会話の間に興を感じ、反射的な心の動き(揺らぎ)の一つとして「笑い」を表に出している。

 また「笑い」は必ずしも娯楽性にのみ起因せず、むしろ家などの日常生活の中に点々と表出してくるものではないだろうか。寝転がって見上げた天井に反射する光、部屋に鳴り響くTVの音、下階から漂ってくる夕飯の匂い。家の中の断片的なシーンに接し、心に微かな揺れを感じる。また時にはそれが不意に過去の思い出を誘引して、思わず笑みが溢れる。

 本作では、筆者の実家の各部屋の目に付く部分や全体像をキャンバスとして、写真(画面=場面)から想起される「目に見えない感覚(インスピレーション)」を自由に描画し、感情の図像化ひいては「家(日常生活)」によって笑いが発露される時の感覚可視化の一方法を提案する。

 画面から図像が誇張・拡大し他の画面に接触して想像上の連続性を生む。また写真は被写体の遠近の境を排し同一平面に転写するため、現実でなぞることのできない事物の輪郭線を描くこともできる。微細な心の揺らぎに反応して、ただ日々の生活を眺めるように笑いの可視化は進む。

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